この3T-GTEU型から、再びパワー競争が復活した!
トヨタが新開発の「レーザー、3Tツインカム・ターボ」を発表。乗用車の世界に、再びパワー競争、スピード競争が帰ってきた。メーカーのエンジニアたちは、排出ガスを世界一クリーンにしながら燃費競争をし、ついにパワー競争まで復活させてくれたのだ。
【岡崎宏司カーズCARS/CD名車100選】あのコーリン・チャップマンも絶賛。日本車最速を誇った1981年トヨタ・セリカXXのハイポテンシャル
トヨタの新しいパワーユニット、レーザー3Tツインカムターボの型式は3T-GTEUだ。3Tでわかるように、排気量1770ccの3T-EU型のブロックを使い、ヘッドをツインカム化し、ターボチャージャーをドッキングさせたエンジンである。ターボチャージャーはトヨタ製だ。最高回転数は毎分11万回転という、高回転型である。
3T-GTEUは、実にきれいなルックスをしている。まるで精密機械のように見える。4気筒だが、並んだプラグは8個。このツインプラグ方式は燃焼時間を短くし、燃焼効率を高くするのが目的である。
このツインカムターボは、160ps/6000rpmの最高出力と、21.0kgm/4800rpmの最大トルクを発生する。90.4ps/リッターというリッター当たり出力は、現在の国産エンジンの頂点に立つ。ひと昔前のレーシングエンジンに匹敵する数値だ。
試乗したセリカGT-Tの3T-GTEUは、低速域のトルクは痩せぎみだが、4000rpmを境にグーンと立ち上がる。パワーフィーリングは、「さすがツインカムターボ!」という感じ。データによると、ゼロヨンは15.8秒(2人乗り)だ。納得のいく爆発力である。
スポーツ派好みのエンジン、といえばすぐに浮かぶのがスカイラインRSのFJ20だが、セリカの3T-GTEUも素晴らしい。回転計の針が4000rpmを超えたとたん、急にパワーが盛り上がる。猛然とセリカが飛び出し始める。と同時に、音もエキサイティングな音質に変わって、コクピットのムードは一変する。
3T-GTEUの最高出力回転数は6000rpmだ。だが6400rpmあたりでも、パワーカーブの下降は目立たない。試乗車の中には、7000rpmあたりまで有効なパワーを発生するゴキゲンなエンジンもあった。3速以上では6500rpmをシフトポイントにすればいい。ちなみに、回転計のイエローゾーンは6500rpmになっていた。
4000~6500(あるいは7000)rpmに回転計の針をピタリとクギ付けにするとき、セリカGT-Tはダイナミックに走る。コクピットもゴキゲンなサウンドに包まれるのだ。セリカGT-Tのスピードのポテンシャル、フィーリングは素敵だ。
サスペンションはフロントがストラット、リアはセミトレーリングアームの4輪独立式だ。試乗車はオプションのBSポテンザRE86とLSDが装着されていた。セリカGT-Tは、まさに軽快で、気持ちのいいハンドリング感を味わわせてくれた。ステアリングを切ると、瞬間にスッとスムーズに向きが変わる。ただし高速で素早くステアリング操作をするときには、レスポンスがやや遅れがちになる。この傾向はステアリング系の剛性がいま一歩足りないことを示している。
ステアリングはラック&ピニオン式だ。パワーアシストはオプションだが、できればオーダーしたい。マニュアル仕様も悪くはないが、ロックからロックは3.8回転だし、剛性感ももの足りない。そこへいくとパワーステアリングは、ロックからロックが3.1回転とクイックになり、剛性感はより高い。ロードフィールの伝達もしっかりしている。ハードな走りに挑戦しても、コントロール性には問題はない。
LSDは、コーナー前半でアンダーステアを強めにする。パワーを強くかけたときのテールの流れの挙動は穏やかなほうだ。ある程度の腕があれば、余裕あるトルクを使って、思ううままにテールを流し、姿勢を自由にコントロールできる。ブレーキは4輪ディスク。ロックを起こすのが少し早いし、ハードなブレーキング時の安定感にもやや不満が残る。もう少し信頼感のあるブレーキに改良してほしい。
魅力のメカ、日本初のツインカムターボを与えられたセリカGT-Tは実際も、体感上も、ダイナミックで心躍る。本格スポーツユーザーに勧めたい。
※CD誌/1982年12月号掲載
【プロフィール】
おかざき こうじ/モータージャーナリスト、1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経てフリーランスに。本誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
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