古き良きBMWの味わいを残すF20型1 シリーズ
私は現在、マツダ ロードスター(ND型)とBMW 118d(F20型)の2台を愛用している。マツダ・ロードスターに関しては前回の記事を含め様々なメディアでその素晴らしさを書いているが、今回はもう1台のBMW 118d(F20)について書いてみたい。
これまでBMWは多くのモデルを乗り継いできた。最初は父親が買ったE30の318iでBMWの素晴らしさを知り、それ以来のファンである。自分で初めて購入したのはE36の320iで、その後は6気筒エンジン搭載車を乗り継いだのだ。
しかしながら2010年代に入りF20(1シリーズ)/F30(3シリーズ)世代になると6気筒は高価かつパワーのありすぎるターボ仕様だけになってしまった。そこで新たに日本に導入されたディーゼルにも関心があったので、118dを購入したのである。
この判断は大正解で、F20はちょっと大きくなりすぎた3シリーズより古き良きBMWのコンパクトかつ俊敏な味わいを残しており、先代のE87よりしなやかな乗り味も持っていたのだ。ディーゼルエンジンも期待を裏切らない仕上がりで、特に発進加速はガソリン車よりBEV(電気自動車)に近い感覚で小気味よく街中での運転が楽しい。
そしてもちろん燃費もとても良く、高速道路では軽く20km/Lを超え、軽油はハイオクガソリンより大幅に安いためそれまでの6気筒ガソリン車より圧倒的にランニングコストが安くなった。また高速走行メインなら満タンで1000km程度走れるので、長距離ドライブも楽である。自宅から鈴鹿サーキット往復など無給油で余裕綽々である。
F20型1シリーズはコンパクトFRでありながら後席も十分大人が座れるしトランクも意外と広く、実用性も十分だ。3気筒ガソリンエンジンの118iもノーズが軽くよりキビキビした走りを楽しめる魅力的な選択肢である。
最終年式でも2018年、すでに7年落ちとなるが今でも人気があるようで、2~3万kmの低走行の個体だと私が購入した6年前とほとんど変わらない価格で売られている。このようなコンパクトFRモデルが登場する可能性はほぼ皆無だろうし、程度の良い個体があれば是非お勧めしたい1台である。
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アルピナの美点と欠点
非常に満足していたのだが、1年ほど経ったころどうしても乗ってみたい車ができてしまった。アルピナである。アルピナは3シリーズ以上しかないため、買うならB3(ガソリン)かD3(ディーゼル)である。
ディーゼルエンジンの魅力は十分理解していたが、ガソリンのB3を選んだ。せっかくアルピナを買うならエンジン本体はBMWのままのD3よりクランクケースやクランクシャフトもアルピナ専用部品を使っているB3ではないかと思ったのがその理由である。
しかしこの選択は間違いだったのだ。確かにB3のエンジンは高回転で気持ちよく、素晴らしいエンジンだったのだが、その気持ちいい領域まで踏み込んで走ってしまうととんでもない速度になってしまうのである。
しかも乗り心地も極上でエンジン音も上品な快音なので、飛ばしているという意識がないままここには到底書けないような速度にすぐに達してしまうのだ。これでは免許証が何枚あっても足りないし、法定速度の範囲内で走るだけでは最も美味しい部分を全く味わえない。
また超高速巡航を念頭に置いたセッティングのため、街中での最初の出足はそれほどでもなく、信じてもらえないかもしれないが、街中では118dの方が活発に感じるのだ。そしてもちろん、燃料代は嵩んだ。
F30型3シリーズのボディは狭い道の多い我が家周辺の環境では実用上少し大きすぎたし、セダンという車型も不便だった。そこで好印象だった118dに再び戻る決意をしたのだ。
1シリーズのアルピナが欲しい!
そのタイミングは2019年春、1シリーズは既にF40型にモデルチェンジして前輪駆動になっていた。F40はBMWらしい走りを感じさせたが、やはり後輪駆動のF20とはドライブフィールに大きな差があったので、買うべきはF20の中古車である。
しかしアルピナの通常のBMWとは異なる素晴らしい乗り味には感銘を受けていたので、アルピナの乗り味の秘密を探り、118dでそれに近い乗り味を実現できないかと考えたのだ。
ジュネーブモーターショーの会場でアルピナ本社の人に詳しくヒアリングした結果、アルピナの乗り味を実現しているファクターは3つあることがわかった。一つ目はショックアブソーバーである。
しかしアルピナは専用部品を使っているわけではない。BMWではオプションとなる、アダプティブMサスペンション用のショックアブソーバーをそのまま使っていたのだ。メーカーオプション装備なので、日本で売られているBMWでこのショックアブソーバーがついている個体は非常に少なく、この乗り味を知る人は多くない。
二つ目はタイヤである。BMWはランフラットタイヤが標準だが、アルピナはノーマルタイヤのミシュラン・パイロットスポーツ4Sを装着している。三つ目はボディ前端の補強で、これにはアルピナ独自のブレースが使われている。
一つ目のアダプティブMサスペンションであるが、F20型1シリーズのMスポーツ仕様にはオプションで「ファスト・トラック・パッケージ」というものがあり、これはアダプティブMサスペンションと、ブレンボ製Mスポーツブレーキ、18インチホール/タイヤがセットになったものである。このオプションを装備している118dが非常に少数ではあるが日本にも存在することがわかった。
BMWディーラーの知人にこのオプションのついた個体を探してもらったところ、数ヶ月後に連絡があり、2017年式の後期型、しかもファスト・トラック・パッケージだけでなくアクティブ・クルーズ・コントロールやアドバンスド・パーキング・サポート・パッケージ、コンフォート・パッケージ、シート・ヒーティングもついているという極めて希な個体が入庫したという。
2017年式の後期型というのはダッシュボードの形状と素材も変更になっており、それ以前のものよりデザインも質感も大きく向上しているのも嬉しいポイントだ。このダッシュボードは2017年の10月頃から2018年の終売までの短い間だけの仕様だ。
さらに、この新型ダッシュボードになってからのMスポーツ仕様はEdition Shadowという特別仕様車がほとんどで、この仕様にはファスト・トラック・パッケージが装着できないのだ。従って本当に希少車と言える個体だ。
準アルピナ化のための秘密兵器
この物件、逃したら次はないと思い即座にそのBMWディーラーを訪れ即決した。走行は2万kmだったが、程度も申し分のない状態だった。こうして私のものになった118d(2号)であるが、“準アルピナ化”のためにはあと二つの課題を解決しなければならない。
タイヤはミシュランにするのが王道だが、一つ気になるタイヤがあった。コンチネンタルのDWS06というタイヤで、Dはドライ、Wはウェット、Sはスノーを意味する。基本はサマータイヤなのだが、若干の雪であれば対応できるというものだ(オールシーズンタイヤではない)。このタイヤは耐摩耗性にも優れ、しかも価格も安いという不思議なタイヤだ。
ランフラットのピレリPゼロからこのタイヤに履き替えたところ、グリップは実用上十分なレベル、乗り心地は明らかに良くなって直接的な入力が穏やかになった。私の住むエリアでは年に一回積もるかどうかの雪だが、多少積もった際でも不安なく走ることができた。
耐久性も申し分なく、現在は替えてから5年以上、走行距離も5万km以上だが溝はまだまだ十分、ひび割れもほとんどない状態だ。このタイヤは基本的には雪はないが、ごくたまに降るというエリアに住む人にはお勧めである。
そして最後はボディ補強である。アルピナが装備している場所とほぼ同じ場所を補強するブレースなども販売されていたが、アルピナほどパワーがあるわけではないのでしなやかな乗り味をもたらす方法はないかと探してみた。
そこで見つけたのが、ヤマハが開発したパフォーマンスダンパーである。これはボディに装着するダンパーで、走行性能を高めると同時に乗り心地も向上させるもので、レクサスの一部車種にも純正採用されているものだ。
これは前端だけではなく、後端にも装着する2本セットである。取付工賃も含めると20万円近くになる高価なパーツであるが、思い切って取り付けてみたのだ。結果はよりしっかりしたステアリングフィールとしなやかさを増した乗り心地となって現れた。
こうして私にとって理想に近い118dが完成したのである。購入してから6年近くになるが、その間故障は全くない。文字通りの全くのトラブルフリーである(毎年のディーラー点検は欠かさず行っている)。非常に満足しているが、もう新車から7年、走行も7万kmを越えている。最大の問題は買い換えたくなるような車が全く現れないことなのである……。
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みんなのコメント
DPF対応オイルが軽油の経済性を食い潰すし、この車を買う意味のハンドリングは118iに分がある。
エアロとホイールとピンストライプ貼っただけじゃないんですよ。